変臭こうき

変臭こうき

変臭こうきとはなにか?

文学部の文集「陽炎」に、編集後記を書かねばならなかった森豊は、
自分では絶対、編集後記を書きたくない、ものぐさ男だった。
彼は、まわり中の文学部員たちに、
「編集後記どうしよう。なんか、書かなきゃなんないんだよな。あぜ、考えろ」などと、
他力本願し続けていた男でもあった。
あぜは、どうせ却下されるだろうと、
「ぼくの名前は浩基(こうき)です。編集をしました。編集こうきです」と書けばいいと言った。
割と、投げやりだった。
予想に反して、そりは、森豊でもあるだけに、喜んだ。大喜びと言ってもいいほどだった。
「そりゃ、いいねえ、いいねえ」
木村立哉は、さらに言った。
「ぼくの名前は、こうきです。変な臭いがします。変臭こうきです」を主張した。
変な臭い扱いされたら、さすが怒るだろうと予想していた、あぜの予測は覆された。
そりは、もう、大喜びで、大喜びで、
「変な臭い、変な臭い、変な臭い、いいなあ。それにしよう。絶対書こう」と狂喜していた。
はしゃぐ森豊を見ていると、あぜの頭の中にもう一つの考えが浮かんだ。
「じゃ、最後に、ぼくの名前は、こうきです。ご覧のように、一つのことに固執する性格です。
偏執こうきです。ってのは、どう」
「お、いいじゃん、いいじゃん」
文学部員たちの爆笑。このころにはなぜか、全員が幸せな気分に包まれてしまっていた。
ハピネスな、ハピネスな、極楽気分に。
 
こうして、森豊が書きあぐねていた「陽炎」の編集後記は、あっという間に完成してしまったのだ。

編集後記

 ぼくの名前は、こうきです。編集をしました。編集こうきです。

 ぼくの名前は、こうきです。変な臭いがしました。変臭こうきです。

 ぼくの名前は、こうきです。ご覧のように、一つのことに固執する性格です。偏執こうきです。

 森豊は、相変わらず、変な臭いをぷんぷんさせてるのだろうか? 

キムラ:なんか崩れてたから、手を入れたよ。

あぜ:さんきゅう、ないす。上手にできなかったのよん。

■キムラ:そりってやっぱバカだな。

あぜ:言えてるー。超・馬鹿(笑)。変な臭いが、よっぽど「快」だったのか?